column お役立ちコラム
洗濯はお湯のほうが落ちる?水温で変わる汚れ落ちと注意点
冬に洗ったシャツを見たら、襟の黒ずみがなんとなく残っている。きれいにしたはずのタオルも、すっきりしない。そんなとき、洗剤や洗い方だけでなく、「水の温度」も関係しているかもしれません。洗濯は水でするのが当たり前になりがちですが、汚れによってはお湯が向くこともあれば、水から処理したほうがよいものもあります。今回は、洗濯とお湯の関係を、実験結果や洗濯表示と一緒に見ていきます。
洗濯は「水温」で変わる?
衣類につく汚れは一種類ではありません。汗、皮脂、食べこぼし、泥など、さまざまな汚れがあります。水温は、こうした汚れの落ち方を左右する条件のひとつです。
洗剤に配合されることがある酵素も、汚れを落とすのを助けます。たとえば花王は、えりやそで口の汚れに含まれるタンパク質汚れを、タンパク質分解酵素が分解して落としやすくすると説明しています。
一方で、温度を上げれば上げるほどよいわけでもありません。汚れによっては熱を加えることで落としにくくなるものもあります。つまり洗濯では、「熱いほどよく落ちる」ではなく、汚れに合わせて水温を選ぶことが大切です。
水22℃とお湯40℃。実験ではどう違った?
東邦ガス技術研究所では、白いTシャツに模擬汚れを付け、水22℃とお湯40℃で洗い比べる実験を公開しています。使用したのは洗剤4種類、模擬汚れ9種類。洗濯後のシミの色の強さと、汚れの除去率を色差計で評価しています。
・チョコレートソース
・ソース など
・ワイン
・コーヒー
・カレー など
東邦ガスは、4種類の洗剤について、シミの色の強さと汚れの除去率の両方で温水洗濯が優れていたとまとめています。ただし、汚れの種類ごとに見ると、水温による差が小さいものもあります。
出典: 東邦ガス「技術研究所社員が『お湯で洗濯』を検証する!」
汚れによって、水とお湯を使い分けよう
「洗濯=いつでもお湯」ではありません。温水を選択肢にしやすい汚れもあれば、高い温度を避けたい汚れ、水につける前の処理が大切な汚れもあります。
| 汚れの種類 | 水温の考え方 | ポイント |
|---|---|---|
| 皮脂・油分を含む汚れ | 30〜40℃程度を検討 | 温水が汚れ落ちを助ける場合があります。衣類の洗濯表示と洗剤の表示を確認します。 |
| 襟・袖の黒ずみ、黄ばみ | 30〜40℃程度を検討 | 皮脂などを含む汚れでは温水が選択肢になります。洗剤に含まれる酵素も、タンパク質汚れを落とす働きを助けます。 |
| 血液 | 水〜40℃以下 | 高い温度では血液中のタンパク質が凝固して落としにくくなります。水または40℃以下のぬるま湯での処理が案内されています。 |
| 卵・牛乳など | 高温を避ける | タンパク質を含む汚れでは、熱による変性・凝固に注意します。衣類や洗剤の表示を確認します。 |
| 泥汚れ | 水温より前処理 | いきなり水につけず、まず泥を払い、水につける前に洗剤などで前処理してから洗います。 |
💡 「40℃」は万能な正解ではありません
汚れによって適した処理は異なります。また、洗濯表示にある「40」などの数字は、「40℃がおすすめ」という意味ではなく、洗濯液の上限温度を表しています。
出典: 日本石鹸洗剤工業会「お洗濯119番」 、 ライオン「衣類についた油・ワイン・泥の染み抜き方法は?」 、 消費者庁「洗濯表示(令和6年8月20日以降)」
お湯で洗う前に確認したい3つのこと
1.衣類の洗濯表示
洗濯おけのマークの中にある「30」「40」などの数字は、おすすめ温度ではなく、洗濯液の温度の上限です。「40」なら40℃で洗わなければならないという意味ではなく、「40℃を限度として洗える」という意味です。温度だけでなく、弱い洗濯・手洗いなどの表示も確認しましょう。
2.洗濯機の取扱説明書
外部から温水を給水できるか、使える水温は洗濯機によって異なります。たとえばパナソニックは、風呂水などお湯を使用する場合は50℃未満と案内する一方、給湯器にはつながないよう案内しています。50℃未満の設定でも、瞬間的に50℃以上のお湯が給水され、給水経路の部品が変形して水漏れするおそれがあるためです。必ず使用中の機種の取扱説明書を確認してください。
3.熱すぎるお湯を使わない
「高温ほどよく落ちる」とは限りません。血液のように温度を上げることで落としにくくなる汚れもあります。衣類・洗剤・洗濯機それぞれの表示や説明書の範囲内で使うことが基本です。
出典: 消費者庁「洗濯表示(令和6年8月20日以降)」 、 パナソニック「洗濯機に入れてもよいお湯の温度は」
家庭でお湯を使って洗う方法
洗濯機自体に温水洗浄機能がある場合は、衣類の表示と取扱説明書に従って対応コースを使います。
住宅に洗濯機用の湯水混合水栓などがあり、かつ洗濯機が外部からのお湯の給水に対応している場合は、機器の条件に従って利用します。対応していない洗濯機へ、自己判断で給湯器を接続しないようにします。
衣類と洗剤の表示で使用できる温度を確認したうえで、対応する汚れにつけ置きを使う方法もあります。熱いお湯を素手で扱うような方法は避けましょう。
お風呂の残り湯を使う場合: 残り湯の使用条件は洗濯機によって異なります。使用中の洗濯機が残り湯に対応しているか、どの工程で使用できるかを取扱説明書で確認してください。入浴剤を使っている場合は、入浴剤側の表示もあわせて確認しましょう。
毎日の洗濯にも、太陽の熱で温めたお湯を
ここまで見てきたように、洗濯では「いつも水」「いつもお湯」と決めるのではなく、汚れや衣類に合わせて選ぶことが大切です。冬の冷たい水で皮脂汚れが気になる日なら、洗濯表示や洗濯機の条件を確認して、お湯を選ぶ。そんな選択肢があってもよさそうです。
季節による水温とお湯の使われ方については、 こちらのコラム でも紹介しています。
太陽熱給湯システム「ReTerra(リテラ)」は、太陽の熱を利用して水を温め、給湯に必要なエネルギーの一部を補うシステムです。集められる熱の量は天候や季節によって変わるため、既存の給湯器と組み合わせて使います。
洗濯機への給湯については、住宅側の配管・水栓だけでなく、使用する洗濯機が外部給湯に対応していることが前提です。ReTerraがあるから、どの洗濯機でもお湯で洗えるということではありません。住まい側と機器側、両方の条件を確認したうえで、「必要なときにはお湯を選ぶ」という暮らし方を考えていきます。
まとめ ─ 洗濯にも「お湯を選ぶ」という選択肢
洗濯は、お湯なら何でもよく落ちるわけではありません。温水が選択肢になる汚れもあれば、血液のように高い温度を避けたい汚れ、泥のように水につける前の処理が大切な汚れもあります。
大切なのは、洗濯表示と洗濯機の説明書を確認したうえで、汚れに合わせて水とお湯を使い分けること。「冬だから、今日も水でいいか」と何となく決めるのではなく、必要なときにはお湯も選んでみる。そのくらいの小さな変化から、毎日の洗濯の選択肢は少し広がります。